逸見小学校/ザボンの花 | 随書雑感

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のんびりが好きなぴっぷのひとりごと。社会保険関係や労働関係のニュースを取り上げつつ,基本的には日常雑記です。

久しぶりに庄野潤三の作品が読みたくなった。
天気予報は外れ,照り返しの強い午後,郵便局にいくついでに図書館に寄ろうと思った。
 
金曜日の午後の図書館は空いているだろうか,とも思ったが
いつものように気の利いたソファーには人が多く,男性がとても多い。
 
文学の方へ行き,「さ行」の作家の欄を眺める。
 
『逸見小学校』と題した本があった。
逸見小学校/新潮社
¥1,404
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一時期,庄野作品に興を感じ,かなりの量を耽読したが,
この作品は知らなかった。いつものクセで冒頭ではなく,結の方のページをめくっていくと,
「解題」があり,この作品についての説明書きを見つけた。
 
亡くなった後,夫人が氏の書斎の棚に保存されていたとのことである。

「未発表作品かぁ」と興味をそそられ,借りることに。
残念なことに,ハードカバーのコーナーにはこの1冊しかなかった。
 
続いて,文庫のコーナーでもう1冊借りてみようかなとふらふら。

講談社文芸文庫版の『ザボンの花』『愛撫・静物』『野鴨』の三冊があった。

庄野作品は,もう少し充実していてもいいのになぁと思いつつ,
『ザボンの花』は古い本か全集で読んだ記憶があったけれども,この講談社学芸文庫版では,
ことし2014年の4月に発行されたばっかりだったので,この1冊を借りることにした。
ザボンの花 (講談社文芸文庫)/講談社
¥1,728
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表紙裏の説明文を引用すると,
 
「 『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。
これは,著者にとって最初の長編小説であり,
麦畑の中の矢牧家は,彼がまさに創りつつある,
新しい家庭であり,生活を愛し育んでいく本質と主張を,
完成度の高い文学作品にしあげている。
一生のうち,書くべき一番いい時に書かれ,
やがて『静物』『夕べの雲』へと続く作品群の起点でもある。」
 
こちらは,長きに渡る「家族シリーズ」→「老夫婦の日常」へと続く「起点」となる作品。
私もまた「創りつつあり」「生活を愛し育んでいく」過程にあるので,
おそらく,20代の時に読んだときの印象とは,また異なる新しい出会いになりそうである。
 
いじょ。